Medtronic
SNM SacralNeuromodulation 仙骨神経刺激療法
第3章
便失禁診療の概論
5. 治療法
薬物療法
便失禁患者は、原因に関わらず軽度の下痢状態、すなわちブリストル便性状スケール(Bristol stool form scale、以下BSFS)で
タイプ5~7と便性が緩く、排便回数が頻回であることが多い。
便失禁に対する薬物療法の目的は、腹部膨満感、腹痛、排便困難などの便秘症状を起こさない範囲で患者を軽度の便秘傾向に
すること、すなわち大腸の蠕動運動を抑制し、排便回数を減少させ便性を固形化することである。
現時点で本邦において便失禁という症状名に対して保険適応を有する薬剤は存在しないが、軟便を伴う便失禁に対して有効かつ本邦で使用可能な薬剤としては、ポリカルボフィルカルシウムとロペラミド塩酸塩が挙げられ、下痢型の過敏性腸症候群に対してはラモセトロン塩酸塩がある。
三環型抗うつ薬であるアミトリプチリン塩酸塩や抗不安薬であるジアゼパムが便失禁に有用な場合もある。
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